- はじめに
- 1章 ノート指導において,何を大切にすべきか
- 〜教育界のレジェンド東井義雄氏に捧げる〜
- 1 ノートの機能,ごぞんじですか?
- 1 レジェンドの4つの分類に,畏れ多くもプラス1
- 2 なぜ,プラス1が必要なのか?
- 2 レジェンド発,4つの機能を一気に説明
- 1 「練習帳的機能」とは何か?
- 2 「備忘録的機能」とは何か?
- 3 「整理的機能」とは何か?
- 4 「探求的機能」とは何か?
- 3 たわせん発,ノートを通じて子どもとつながる方法
- 1 「コミュニケーションツール的機能」とは何か?
- 2 子どもたちとつながる方法
- 3 離れていく子には,この対応
- 4 「コミュニケーションツール的機能」最終段階
- 1章まとめ
- 2章 ノートは思考の作戦基地である
- 〜我が師,有田和正氏に捧げる〜
- 1 ノートを思考の作戦基地にするために…
- 1 書くことによって,自分の考えをまとめる
- 2 ある日の6年たわせん学級の授業の1シーン
- 2 基本ルールを徹底する
- ◆ 基本ルールは2つだけ
- 3 机間巡指で子どものノート力をあげる
- 1 ノート作業の間は机間巡指
- 2 机間巡指をするコースを決める
- 3 書けない子に対する指導はこうする
- 4 机間巡指 声かけバリエーション
- 4 書くことに夢中にさせない
- 1 板書を一生懸命写す子はオッケー?
- 2 友だちの発表を記録する子を育てよう
- 5 「授業のふりかえり」の書かせ方
- 1 討論の後には,授業のふりかえり
- 2 「話す力 聞く力 書く力」3つの力を意識して
- 3 「授業のふりかえり」を書かせる言葉がけ
- 6 作戦タイムで,授業を活性化
- 1 作戦タイムは,ノート持参で
- 2 作戦タイムのがんばりをチェックする
- 2章まとめ
- 3章 ノートで子どもをプロデュース。
- 〜秋元康&つんく♂に捧げる〜
- 1 動体評価で,子どもとつながる
- 1 ノートは子どもと仲よくなるためのアイテムである
- 2 動体評価で瞬時に対応
- 3 声をかける 〜机間巡指編〜
- 4 赤ペンを入れる 〜机間巡指編〜
- 5 ノートを持ってこさせる 〜いいところ,悪いところ〜
- 6 でも,やっているんですけどね
- 7 赤ペンを入れる 〜ノートを持ってこさせる編〜
- 8 動体評価のための強い味方 花まる!!
- 2 花まるバリエーションいろいろ
- 1 花まるがさらに進化
- 2 連続ストーリー「花まる物語」
- 3 連続ストーリー「花まる物語 〜空編〜」
- 4 連続ストーリー「花まる物語 〜地底編〜」
- 3 動体評価で,子どもの力を伸ばす
- 1 「動体評価」でお持ち帰りなし!
- 2 どうせ見るなら,教室で
- 4 ノートで子どもをプロデュース
- 1 子どもをプロデュース
- 2 モーニング娘。とAKB48
- 3 「モー娘。方式」で,子どもをプロデュース
- 4 「AKB方式」で,子どもをプロデュース
- 3章まとめ
- 4章 子どもの力を伸ばすファーストコンタクト
- 〜たわせん学級の子どもたちに捧げる〜
- 1 書けない子は,なぜ書けない?
- 1 ノートの前で固まってしまう子
- 2 なぜ書けないのか?
- 3 黄金のファーストコンタクト
- 2 ファーストコンタクト 国語ノート編 視写から始めるノート指導
- 1 教科書の扉の詩を視写させる
- 2 実際の指導はこうする
- 3 ファーストコンタクト 漢字ノート編 まるつけは自分でおこなう
- 1 漢字ノートの指導のポイントはこれだ
- 2 実際の指導はこうする
- 3 こんな使い方も
- 4 ファーストコンタクト 算数ノート編 ノート2冊でやる気も計算力もアップ
- 1 国語のノート以上にゆったり書かせるのが算数ノート
- 2 授業用ノートにプラス1 計算練習専用ノート
- 3 実際の指導はこうする
- 4 自主的に何度も何度も計算練習に取り組む子を増やすために
- 5 ファーストコンタクト 社会ノート編 はてなが書ける子に育てる第一歩
- 1 たくさん書けるって,すばらしい
- 2 とにかく何か書ける問題を
- 3 こんなネタもお勧めします
- 6 ファーストコンタクト 理科ノート編 表紙の裏に布石をうつ
- 1 命ってすばらしい 〜ライ麦の根の授業〜
- 2 フラスコってどこだっけ? 〜理科室オリエンテーリングの授業〜
- 4章まとめ
- 5章 たわせん学級のノートアラカルト
- 〜たわせん学級の子どもたちに捧げるU〜
- 1 理科 ていねいにじっくりと仕上げたノート
- 1 ポイントは,見本になるノート
- 2 実際には,このように言葉がけを
- 2 理科 ノートをきれいに仕上げるコワザ
- 1 教師が一手間かける
- 2 薬包紙を使って,描写力アップ
- 3 国語科 自分の考えを詳しく書き込んだノート
- ◆ 書くべきことが手元にある〜「やまなし」授業のまとめ〜
- 4 社会科 調べたことをびっしり書き込むノート(ワーク)
- ◆ 押さえどころは,社会科も同じ 〜三権分立&調べ学習〜
- 5 何よりも自分自身が楽しみながら書くノート
- 1 メタ認知能力を高めるために
- 2 視点を変えて書くと楽しさ倍増
- 3 面白がる能力
- 5章まとめ
- おわりに
はじめに
経済活動,経済機関,経済合理性は,それ自体が目的ではない。非経済的な目的,すなわち人間的な目的や社会的な目的のための手段である。
(『すでに起こった未来』P.F.ドラッカー)
格調高く,そして,何となく難しそうな内容ですので,関西弁に翻訳してみると,こうなります。
「なあ,兄ちゃん,よう聞いときや。金儲け自体が目的やないんやで。金儲けっちゅうのは,何かをするための手段にすぎひんのや。」
あっ,関西以外の人には,かえってわかりにくくなってしまいましたか?(笑)
まぁ,つまるところ,ドラッカーは,
手段自体が目的化していることがあるから,気をつけてね。
ということを言いたかったわけです。
そして,このことは,教育の世界でもよく見られます。
「きれいなノートを書かせたい。」
このような思いを持つことは悪くありません。
むしろ,いいことです。
ただ,「きれいなノートを書かせる」ことは,あくまでも手段です。
「『きれいなノートを書かせる』ことによって,子どもたちに,ていねいにじっくり学習に取り組む姿勢を身につけさせたい。また,仕上げたノートを見て,『自分って,なかなかやるやん!』という自信も持たせたいよな。今のクラスは,自分に自信のない子も多いようだし。」
このように目的を教師が意識した上で,手段としておこなうこと,それが大切なのです。
ところが,中には,「きれいなノートを書かせる」こと自体が目的になってしまっている先生がいます。
あくまでも,ノートは手段です。
極論を言えば,「子どもの力さえ伸びたのなら,ノートはぐちゃぐちゃでもかまわない。」のです。
…と,ノート指導の本で,「ノートはぐちゃぐちゃでもかまわない。」と言い切っている本は珍しいでしょうが,この本はそういう本です。
というのも,この本の基本コンセプトを関西弁で言うと,
なあ,兄ちゃん,よう聞いときや。きれいなノートをつくるのが,目的やないんやで。ノートづくりっちゅうのは,子どもたちを伸ばすための手段にすぎひんのや。
となるからです。
だから,この本には,ノートをどうやって書かせるのかという「ノートの書き方を指導」する方法だけでなく,ノートで子どもと仲よくなったり,ノートで子どもの居場所をつくったりするような「ノートで子どもたちを指導」する方法を,いくつも紹介しています。ノート指導の本なのに,学級づくりや授業づくりについて,俵原が考えていることをたくさん書かせていただきました。
1粒で2度おいしい。
そういう意味でも,お得な本です(笑)。
それでは,本編も最後までお楽しみください。
/俵原 正仁
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- 明治図書
- ノート指導について、参考になります。2020/1/2620代・小学校教員
- ノート指導の基礎基本を実例を見せながら説明していたため、使いやすかった。2015/9/720代社会科教諭